Facebook の利用について―JPS の立場と姿勢

これまで日本写真家協会では、フェイスブック社の利用規約に著作権に関するいくつかの疑義があることから、公式アカウントの開設と利用を控えてきました。しかし、同社の最新の利用規約を確認したところ、その疑義が下記質問状の件だけであることから、当協会顧問 弁護士の北村行夫氏の助言も得て、フェイスブック社にこの質問状を送付しました。
質問状に対する回答の期限は 2021年10月8日を目処といたしましたが、2021年10月28日現在、フェイスブック社からの回答はありません。フェイスブック社が権利を取 得するという立場に立つなら、異議がある筈で、あえてそうした回答しない理由を推測すると、ユーザー側にある権利を奪わないとした既定の原則を維持するという趣旨に他ならないと理解し、それを前提としてフェイスブックを利用することを公に明示いたします。


 

お尋ね

東京都港区虎ノ門1-17-1虎ノ門ヒルズビジネスタワー FacebookJapan株式会社 御中

公益社団法人日本写真家協会

代理人 弁護士北村行夫

東京都港区虎ノ門5-13-1

虎ノ門40MT ビル

虎ノ門総合法律事務所

貴社ますますご清栄のことと拝察いたしております。 さて、当職は、公益社団法人日本写真家協会(以下「JPS」と略します。)の顧問弁護士として、JPS理事会からの依頼により次のことをお尋ねいたします。

1貴社のフェイスブック利用規約(以下「貴規約」と略します。)を拝見しますと、 (1)貴規約「3Facebook とコミュニティに対する利用者の誓約」の「3Facebook に対する許可」に おいて「利用者は、Facebook または他のFacebookグループ企業の製品で作成およびシェアするコンテ ンツについて、著作権や商標権などの知的財産権を保有しています。本規約には、利用者が自分のコンテ ンツに対して保有する権利をFacebookが奪うような規定は一切含まれていません。」という記載があり、 (2)他方、貴規約の同じ「3Facebook に対する許可」の第4段落の中には、「利用者が弊社の製品上 で、またはこれに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツをシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に従って)利用者のコンテン ツをホスト、使用、配信、変更、運営、複製、公演、公開、翻訳、および派生作品を作成するための非独占的、譲渡可能、サブライセンス可能、無償、かつ、全世界を対象としたライセンスを弊社に付与するものとします。」という記載があり、そこには、「譲渡可能」という表現が含まれています。

2 仮に上記の「譲渡可能」が文字通り貴社に著作権を譲渡することを意味するなら、同規定は、(1) の利用者が「保有する権利を Facebookが奪うような規定は一切含まれていません。」と矛盾することは明らかです。しかし、ここでの「譲渡可能」の意味が、「他者への転送」を意味するなら、両規定が併存しうることも明らかです。
本書は、そのいずれの趣旨であるか、あるいはこれ以外の何らかを意味するのかを確認すべくお尋ねしているものであります。

3 上記お尋ねに至った経過を簡単に申し上げます。

(1) JPS は、日本で唯一最大の職業写真家の団体であります。

(2) JPS は、写真著作権の確立と保護に取り組んで参りました。

(3) JPS は、この度、JPS 会員の「公式の SNS 上のサイト」を開設・運用することを計画・検討し、御社サイトをその候補の一つに挙げたところ、前述の貴規約の両規定が矛盾するか併存するかが問題となっております。

(4) もし公式サイトとして御社 SNS を利用した場合に写真著作権が御社に譲渡される趣旨であるならば、JPS は貴社 SNS を利用しないことを正式に決定せざるを得ません。

4 JPSとしては、貴規約の前記両規定が併存しうるものであり、それは「転送可能」ないしこれに準ずる何らかの趣旨であると解釈していることを念のため、申し上げます。JPSのかかる解釈が貴社の規約解釈と相違ないか否かを明確にご回答いただきたく本書をお送りしました。
つきましては、この書面に対する書面によるご回答を10月8日を目途としてご回答くださいますようお願い申し上げます。

以上

 


〒102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル 303 [MAP]
Tel:03-3265-7451 FAX:03-3265-7460

ページ上部へ