JPS展メールマガジン特集 Vol.7

SONYα7S IIIというカメラ

冨樂和也

2020年10月9日に発売されたα7シリーズの高感度に強いモデルの3代目として満を持して登場した製品がα7S IIIです。

 フルサイズのミラーレスカメラではあるのですが、センサーサイズが有効約1210万画素程度のものなので、スチルカメラマンが使用するというよりも、動画に傾倒した感が強いカメラといえるでしょう。しかしながらその高感度性能は凄まじく、静止画撮影時のISO感度はISO80-102400 (拡張: 下限ISO40、上限ISO409600)となっております。
ただし、実際にノイズ等も考慮して実行感度として耐えられるのは、ISO16000くらいまででしょう。(ちょっと不思議なことなのですが、ISO8000からISO12800よりも、ISO16000の方がノイズが減るので、仕事でもしも使うなら、私のお勧めはISO16000かな..)
 実際に使えるかの判断は添付写真を参考にしてみてください。もしかすると、屋内撮影でストロボが使えない撮影などでは、このカメラは重宝するかもしれません。

 

ISO16000で撮影
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ISO16000で撮影
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 (この辺りは動画に興味が無いと伝わり辛いですが..)撮影後の処理をするには必要不可欠な部分です。また、最大120pのハイフレームレート動画を、4K解像度によるカメラ内記録に対応(CFexpress Type Aのメモリーカードが必要)しており、常用ISO感度80から102400(動画拡張時80 – 409600)へ拡大できる幅広い感度域と、15+ストップの広いダイナミックレンジは低照度下における動画撮影において力を発揮します。
 そして何よりも素晴らしいと思えるのが、AFの追従性能。リアルタイムトラッキングやリアルタイム瞳AFに加えて、細やかなAFトランジション速度やバリアングルモニターのタッチセンサーを使ってのAF乗り移り感度など、今までのAF性能とは一線を画す合焦性能。
 また5.5段分のボディ内手ブレ補正はフルサイズのミラーレスカメラとしてはかなり強力で、性能の素晴らしさを列挙すると、まるでメーカーの宣伝文句のようになってしまいますが、使った感想として公称通りに事実なのでご勘弁ください。(専門用語が多くなってしまう事はごめんなさい。)

 ちなみに、4K撮影時に特に問題となる熱暴走の問題ですが、グラファイト素材を使って最適な放熱構造を作っており、私が使うようになって今まで撮影が止まった事は無いので、この辺りの設計は本当に素晴らしいと思います。実際にどの程度使えるかの検証用に画像も用意しているので、そちらをご覧ください。

 正直、これまでのミラーレスカメラに搭載されていた動画機能というものはある意味オマケで、2度美味しい程度のものが殆どで、カラーコレクションはできるがカラーグレーディングに耐えうる録画ができない感じでした。
 しかしα7S IIIに関していえばs-Log3で撮影をして、後処理としてカラーグレーディングをすることまでを考えた、まさに動画のプロが使う事を前提として作られた、動画を撮るに値するカメラに仕上がっているといえるでしょう。これを機に動画を本格的に始めたいと思っている人には導入しやすいカメラだと思います。