「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」開催のお知らせ

2018年01月10日    芳賀日出男

「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」訪れ神、沖縄県八重山郡竹富町祖納(西表島)1988 年

「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」

FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館 企画写真展
開催期間:2018年1月4日(木)~3月31日(土)10:00~19:00(入場は18:50 まで)
会期中無休
会場:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)写真歴史博物館

FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)写真歴史博物館では、2018年1月4日(木)から3月31日(土)まで、「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」写真展を開催いたします。
約60 年以上にわたって日本のみならず世界各地のさまざまな祭礼を撮り続けてきた芳賀日出男は、民俗に対する独自の哲学に裏打ちされたその写真によって、単なる記録写真にとどまらない「民俗写真」の地位を確立した写真家です。
芳賀日出男は、1921 年、満州の大連(現・中国大連市)に生まれました。大学受験のために初めて踏んだ母国の地で、その豊かな季節感に衝撃を受けます。まさに春を迎えんとする季節の中、ぬるんでいく陽気につれて、梅や桜の蕾が開花していく美しい様は、若い芳賀の感性を大きく揺さぶるにふさわしいものでした。
その後、進学した慶應義塾大学で、カメラ好きの父親の元で小学生の頃から写真を撮り続けていた芳賀は、カメラクラブに入り写真にのめりこんでいきます。もっぱら、勉学より写真に精力を傾けた芳賀でしたが、折口信夫の講義は民俗学に開眼する契機となり、後の芳賀に大きな影響を与えることになりました。
卒業後は、日本の年中行事を中心に撮影を続け、1959 年には丹念に稲作行事を追った『田の神』を出版。以後も精力的に各地の習俗を撮り続け、当初はなかなか認知されなかった民俗写真の第一人者として、1970 年の大阪万国博覧会では<お祭り広場>のプロデューサーにも任命されました。
本展「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」では、これまで撮影された40万点にものぼる作品から、芳賀日出男の原点ともいえる稲作儀礼を中心とした祭礼と人生儀礼をテーマにした約30 点を展示します。「季節に合わせて祈るという心豊かな宗教的風土をもっているのが日本人だ。(中略)文明がもたらす利益は多々あるが、失ったものも多いことに気づいていただきたい。そのひとつが祭礼だろうと思う。祭礼には民の願いや叫び、報謝が籠められているものが多い。」(芳賀日出男『写真民俗学』、KADOKAWA、2017 年)あらゆる場所に宿る神々と共に生き、日々の恵みに感謝を捧げてきた日本の祭礼を確かな眼差しでとらえた芳賀の作品は、私たちが生きている「今」という時間を紡いでくれた古( いにしえ) からの長い時間の連なりに思いを馳せるとともに、豊かな美しい自然の恵みに改めて畏敬の念を起こさせてくれます。

芳賀日出男(はが・ひでお)略歴

1921 年、中国大連市生まれ。1944 年、慶應義塾大学文学部卒業。1946 年、日本通信社に入社。
1950 年、日本写真家協会創立メンバーの一人となる。1970 年、大阪万国博覧会<お祭り広場>プロデューサーを務める。1988 年、オーストリア、ウィーン市より栄誉功労銀勲章。1989 年、紫綬褒章。
1995 年、勲四等旭日小綬章。1997 年、日本写真協会功労賞。2009 年、オーストリア国より科学・芸術功労十字章。他受賞多数。主な著作に 『田の神』(平凡社、1959 年)、『日本の祭』(保育社、1991 年)、『日本の民俗 上・下』(クレオ、1997 年)、『折口信夫と古代を旅ゆく』(慶應義塾大学出版会、2009 年)、『写真民俗学 東西の神々』(KADOKAWA、2017 年)、など約70 冊にのぼる。また、「田の神」(東京・小西六フォトギャラリー、1958 年) 、「日本人の生と死のリズム」(慶應義塾大学アートセンター、1995 年)をはじめ多数の展覧会が開催されている。

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