相原 正明 写真展「Katachi ~In &Out~」開催のお知らせ

2025年11月13日    相原正明

 
今回は原点回帰と未来への指針の写真展

高校生の時 初めて一眼レフを買った。カメラはNikon F2 レンズはニッコール50mm。モノクロフィルムを装填して蒸気機関車を撮っていた。これが僕の写真家人生の始まり。それから約40年 カメラはデジタルになり、モノクロからカラーへ。鉄道から地球のポートレートへ。気がつくと地球と宇宙に撮らせていただいていた。考えられない真っ赤な朝焼け夕焼け。空いっぱいの天の川。奇岩など絶景。でも自分が撮るという領域が狭まってきた。

2004年 オーストラリアでの個展の為に、元オーストラリア王立美術館のキュレーター Patricia Sabine氏にプレゼンテーションをする機会を得た。その時に1000人の写真家のうち999人が通りすぎてしまうが、一人だけその被写体の力を感じて撮る写真家が大切。そしてオーストラリアのランドスケープだけでは世界では通用しない。常に今、撮っているものとそれ以外、例えばオーストラリアと日本、風景と人物のInとOutをくり返さなければ作品は生まれない。そしてモノクロームでしっかり作品を撮ること。それをしなさいと命じられた。 

その後どういう世界観で撮るか?迷っていた。だが1本のレンズが課題の解決への扉を開けてくれた。Carl Zess Otus55mm。切れ切れの描写力は写真家に「お前はどこを狙い、何を表現したいのか?」といてくるレンズだった。すべての無駄なものをそぎ落とし自分が見ているものを、奇をてらわない画角、機材のエフェクトに頼らない視点で撮ることにした。そしてもちろん被写体のフォルムを訴えるために、余分なものとして色さえも排除した。1995年 オーストラリアで一緒に撮影させていただいたアメリカの写真家Emmet Gowin氏から「君は色の魔術師だね」とほめていただいたが、その自分の世界観の大きな柱「色」を封印した.

日本とオーストラリアの日常にある木や石 あるいは建築 蒸気機関車 オートバイなど、その機能美をKatachiというコンセプトで撮影を始めた。だが心の奥底で「もっと何かあるのではないか?見過ごしている日常の中に被写体が潜んでいるのでは?」その疑問は常に付きまとった。だが答えは非日常の世界が引き出してくれた。パンデミックによる非常事態宣言。オーストラリアにロケに行けないどころか、日常の外出も不可能。でも写真は毎日撮りたい。でも何を撮る? ある日の午後 台所でカレーを作ろうと、ジャガイモを手に取った。偶然にもジャガイモに西日が射した。そこに見えたのはJAXAのハヤブサが着陸した「小惑星」 早速スタジオでジャガイモを小惑星風に撮影した。それこそKatachiワールドの扉が開いた。利休ではないが茶室の中の宇宙。我が家の台所に「宇宙」があった。野菜という一番日常の物。それを突き詰めてコロナ禍に完成させたのが今回の作品群。日常と非日常 自然物と人工物 オーストラリアと日本。すべてがIn &Out。その対比の世界がKatachi.

ぜひ皆様 相原の宇宙にお越しください

 

相原 正明 写真展「Katachi ~In &Out~」

開催期間:2025年11月13日~11月30日

開催時間:木~土 12:00〜19:00  日曜 12:00〜17:00(月~水 休館
)

開催場所:MONO GRAPHY

住  所 東京都中央区日本橋小伝馬町17-5-2F


ウェブサイト:https://www.monography.shop/mono-graphy

展示点数:モノクロ 約20点 

販  売:写真集 KATACHI、On The Earth, Earthraite、砂の大陸 プリント販売

イベント:相原正明トークイベント

        1回目 11月14日 金曜日 1930〜21:00

        2回目 11月16日 日曜日 17:30〜19:00 

今回は通常 書店売りをしていない新刊写真集KATACHIも販売したします。

 


相原正明|Masaaki AIHARA

1958年 東京都出身 日本大学法学部新聞学科卒
学生時代より、ドキュメンタリー、スポーツ、鉄道の写真家を目指すが1988年のバイクでのオーストラリア縦断撮影ツーリング
以来かの地でランドスケープフォトの虜になり、以後オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトに撮影。
2004年オーストラリア最大の写真ギャラリー・ウィルダネスギャラリーで日本人として初の個展開催。以後写真展はアメリカ、
韓国、そしてドイツ・フォトキナでは富士フイルムメインステージで個展を開催。また2008年には世界のトップ写真家17人を
集めたアドビアドベンチャー・タスマニアに日本・オーストラリア代表として参加。現在写真家であるとともにフレンドオブタ
スマニア(タスマニア州観光親善大使)の称号を持つ。
シベリアヤクーツクでの世界初の冷凍マンモス、落語をはじめとした日本の伝統芸能の撮影などジャンルは多岐にわたる。
日本写真家協会会員