2025年12月15日 小林稔

気がつけば、私はいつもクルマとともに人生を歩んできました。
子どもの頃に憧れた“速さ“と”美しさ“、そしてハンドルを握ったときに胸が高鳴るあの感覚──それらを写真で伝えたいという思いが、写真家としての原点です。
そうした情熱のままに「CAR GRAPHIC」誌でフォトグラファーとして歩み始めました。
そこで学んだのは、「写真とは、単なる美しさだけでなく、その背後にある意思や情熱までも写し取るものだ」ということです。
ロードカーを撮るときには、生産国の文化や歴史、デザイナーやエンジニアの意図にまで思いを巡らせ、その造形に込められた精神をどう表現するか、常に意識してきました。
レースの現場では、疾走するマシンだけでなく、歓喜や葛藤を抱えながら戦うチームやドライバーの姿を追い続けてきました。
とりわけル・マン24時間レースは特別な存在です。
昼夜を通して生まれる数え切れないドラマ、人と機械が共に戦う時間──その難しさと魅力に惹かれ、私は何度もその地へ向かいました。
クルマを軸に、その場の空気や人々の情熱を飾らずに写し取ること。
それは、約半世紀にわたる写真家人生の中で揺らぐことのなかった、私のシャッターを切る時のポリシーです。
私の写真が、クルマにまつわる思いや感情、そしてその時代の自身の記憶を静かに呼び起こすきっかけとなれば、これに勝る喜びはありません。
小林稔 報道写真・作品展「CHASING GRACE」
会 期 2025年12月19日 (金) ~2026年2月3日 (火) 休館日 日曜・祝日・12月27日~1月4日
時 間 10:00〜17:30
会 場 キヤノンギャラリー S
住 所 東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリー S (TEL 0570-07-9264)
ウェブサイト:https://personal.canon.jp/event/photographyexhibition/gallery/kobayashi-chasing
小林 稔 プロフィール
1955年神奈川県生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業後、自動車専門誌「CAR GRAPHIC」の社員フォトグラファーとして8年間活動。その後独立し、自動車メーカーのカタログや自動車専門誌、一般誌などスタジオからアウトドアまでを幅広くクルマとモータースポーツの撮影を手がける。モータースポーツの撮影は現在も国内外で年間20戦近くに及び、ル・マン24時間レースは1989年からほぼ毎年取材。現在はSUPER FORMULA、SUPER GTのオフィシャルフォトグラファー。カメラ雑誌「CAPA」にてモータースポーツ写真コンテストの審査委員長を30年間務める。日本レース写真家協会(JRPA)会長、日本写真家協会(JPS)会員、日本大学藝術学部写真学科非常勤講師。
