2026年03月23日 南佐和子

北海道、フランス、ドイツ、アイスランド。北方の土地に惹かれ、写真を撮り続けてきました。
これまでカメラを向けてきた風景を振り返る時、その中には果てしなく積み重なる「時 間」が写っていることに気付かされます。
先人がこつこつと荒野を開拓することから始まった人間の暮らし。何世紀にもわたって 威容を誇り続ける建造物。これらは、壮大な時間の蓄積のたまものです。
また、地表にはさらなる膨大な時間が垣間見えます。太古の昔に凍り付いたまま押し流されてきた氷河、火山から流れ出たマグマが冷え固まってできた柱状節理の岩肌。太陽から旅してきた粒子が引き起こすオーロラの光も、気が遠くなるような時間の向こうから現れた風景です。
その一方で、文明の中で生きる私たちの時間は、急速にそのスピードを増しているよう に感じられます。
私が北方の大地に惹かれるのは、現代的な時間の尺度から抜け出して、ほとんど変わる ことなく在り続ける時の積層に触れていたいからなのかも知れません。
はるか昔から、風景の上には幾度も星が巡り、地上では霜が降りては解けてを繰り返し てきました。
その中で変わらないものを探し、見つめ、感じ続けること。それは、変化の速度を上げ つつある時代を生きていくうえでも、大切なことだと思えてなりません。
せいそう【星霜】 年月。「ーーを経る」▷「星」は一年で天を一周し、「霜」は年ごとに降るから。 (『岩波国語辞典 第六版』より)
南 佐和子 写真展「幾星霜(いくせいそう)」
会 期:2026年4月14日(火)~4月25日(土) 日月休館
時 間:10:30~18:30
会 場:キヤノンギャラリー銀座
住 所:東京都中央区銀座3-9-7トレランス銀座ビルディング1F
電 話:0570-03-7682
ウェブサイト:https://personal.canon.jp/event/photographyexhibition/gallery/minami-ikuseiso

南 佐和子 プロフィール
慶應義塾大学でヨーロッパ史を学ぶ
英語通訳として会議や商談で働く一方、写真の魅力に取りつかれ写真家に転向する
日本国内にとどまらずアイスランド、フランス、ドイツでも撮影を続けて、
独自の切り口と直感で自然風景を写し撮る
写真展 「アイスランド-最果てのドラマ」
「And Iceland Again」
「Obscure-風の記憶」
写真集 『カメラと旅するアイスランド』(風景写真出版)
『Obscure 風の記憶』(日本写真企画)
公益社団法人 日本写真家協会正会員
第51回JPS展2026審査員
