2026年01月07日 株式会社 フレームマン

ファミリーと並ぶ奈須田社長(右)
写真展をサポートする「トータルフィニッシュワーカー」
2026年5月に、東京都写真美術館(東京都目黒区)日本写真家協会(JPS)最大の展示であるJPS展が開催される。館内を埋め尽くす力作を傷つけず、迅速に展示する作業を担っているのが賛助会員でもあるフレームマンだ。世界一の裏方を目指して奮闘する同社を率いる奈須田一志社長(58)に話を聞いた。【ホームページ委員会委員長・米田堅持】
建設業認可なども取得

作品の加工をするスタッフ
フレームマンの主な業務は展示制作品の加工、額装一式を自社で手掛けているのが売りだ。奈須田社長は「作品の現場でのライティングなども含めた展示、撤去作業も含めたトータルフィニッシュワーカーでもある」と語る。さらに「内装仕上工事業として建設業の認可も受けている。受注するのはギャラリーのみだが、新設仮設問わず壁面を設計、施工している。国土交通省認定の難燃素材に、展示物を固定していた釘を抜いても穴が塞がる特殊な不燃クロスを使った壁面づくりは写真展ならではのノウハウが必要だ」と胸を張る。

朝礼で初孫誕生を祝う奈須田社長(右)
写真展などの展示施工を手掛ける企業はいくつかあるが、フレームマンは社訓の中で「価格競争はしない」と宣言するように廉価でお手軽ではない。それでも、個展を何度となく開催した会員の一人は「展示施工を手掛ける会社はフレームマンかそれ以外かしかない。フレームマン以外に依頼した時にその真価が分かる」とフレームマンのトータルでの展示施工レベルの高さを実感したという。 個々のスタッフは技術だけでなく接客も含めて丁寧で行き届いているが、その裏には奈須田社長の「スタッフファースト」が息づいている。朝礼で「初孫おめでとう」と奈須田社長が声をかけ場が和んだ。奈須田社長はスタッフをファミリーと呼ぶ。

電柱で行先を案内する看板。四ツ木駅から本社まで迷わずたどり着ける
「お客様ファーストは当たり前。スタッフには自分自身や家族を第一に優先しなさい、会社にいるときはお客様ファーストで一生懸命やってくれと言っている。私がスタッフファーストで頑張ってフレームマンのみんなが一致団結して、お客様ファーストにつなげている。だから、スタッフはファミリーと呼ぶ」と理由を明かした。最寄りの京成線四ツ木駅からフレームマン本社までの道中には、道順を示した看板を設置している。スマホナビ全盛の時代でも、社外で顧客が迷わないような配慮は徹底されている。
静電気を制し大型展示にも対応

「オリジナル除電装置」を使って慎重に作業するスタッフ
フレームマンならではの加工技術を支える装置の一つが「オリジナル除電装置」だ。作品加工時に、塵やほこりがあると美しく仕上がらない。吹き飛ばしたりしても完全に除去するのは困難だったが、フレームマンは業界初となる「オリジナルの除電装置」で静電気を除去することで、この問題を解決した。

東京都内最大級のパネルソー
大型作品への対応も充実している。社屋裏側に増築された工房には東京都内最大級のパネルソーを設置し4メートルまでのアルミ複合板や板材を切断することが可能だ。
社屋では作品を入れる段ボールや展示用フレームも製造するほか、倉庫業の登録もあり、作品の運搬や保管の相談にも乗るなど「日本一の裏方」として、日々の展示業務を支えている。
新戦力とともにサイトリニューアル

リニューアルされたホームページ
「これからはデジタルだ」
奈須田社長がそう先代社長に進言して制作した自社のホームページを作成してから四半世紀ほどが経過した2025年。次の時代を見据えてESG認証取得の手続きを進めている時に、ESG評価を行う会社からホームページのセキュリティについて改善が必要だと指摘された。同じころ「このホームページは危険ですと表示される」という指摘も受けた奈須田社長は「ホームページを見るお客様に迷惑をかけてはいけない」と、すぐにサイトリニューアルに取りかかった。知人から紹介された業者にサイト作業を依頼するとともに、デジタル方面の知見を持つ新入社員を含めた社員3人とデザイン部の2人がデータなどを提供して支える形で作業を急ピッチで進めた。

サイトリニューアルについて説明する奈須田社長
奈須田社長は「自分はメールぐらいしかできず、デジタルには強くないが、ホームページ制作のノウハウを持つスタッフがいたので業者に依頼する分は最低限で済んだ。自分自身も自宅に戻ってからもスタッフに丸投げせず、進捗状況や大事な部分は逐一チェックして素早く進めた」と振り返る。奈須田社長は自宅からもフィードバックのメールを送っていたが「指示のメールは個人スマホに送らず、会社アドレスにメールを送っておけばプライベートに干渉することはない。出勤してから、すぐに取りかかれるようにしておけば、あとはちゃんとやってもらえる」と「社員ファースト」の気遣いも欠かさなかった。「リニューアル作業時に追加や変更もあったので1カ月は無理だったが、3か月ほどで形になった。スタッフや業者さんが頑張ってくれたし、私自身もしっかり交渉して安く収めたが具体的には言えない」と金額は明かさなかったが、経営者らしい「桁違い」な交渉の結果、「お友達価格」だったことは否定しなかった。リニューアルを終えたホームページはセキュリティも担保され以前よりも見やすくなった。
ESG認証も取得

社屋の一角には大型展示の実例も
展示作業などの本業はもとより、各種の許認可の積極的な取得など地道な努力が実を結び、2025年9月にはESG認証を取得、同年10月には一般社団法人企業価値調査機構からSMBエクセレント企業賞(額装/展示装飾部門)を受賞した。
JPSが日本の写真家を代表する写真団体であり続ける今、文字通りで裏で支えている賛助会員の一つがフレームマンだ。かつては銀座でギャラリーの運営もしており、私も含めて何人もの会員が写真展を開催して展示のノウハウを学んだ。ギャラリーはなくなっても写真家を支える姿勢は変わらない。写真展を開催する時には、是非とも相談したい頼れる賛助会員だ。
